大嫌いな父(後編)。投稿721日目

大嫌いな父(後編)。投稿721日目

前編・中編はこちらから下記よりご覧ください。

浄心行を行うため、大拝殿と呼ばれるところへ行った。
今回は、浄心行用紙5枚を握りしめていた。前回の浄心行でかなり出し切ったので、1枚でも書ければいいなと思っていたが、父のこともあったので、この枚数となった。

確かこの時もご飯を食べずに書きまくった。浄心行をこれから受ける人へ伝えておきます。人の目を気にせず、思い切り時間を忘れて書いてください。これが悩み・苦しみから解き放つ方法です。私はそうやってココロのゴミを出しました。遠慮はいりません。

そして、浄心行が始まる。招神歌(かみよびうた)と呼ばれる、神様をお招きする歌を唱える。この時の先導はY先生。ゆっくりと招神歌を唱えてくださったのだが、声を大きさも相まって、合掌している指先がビリビリと波を打った。

波動がとにかくすごいのだ。本当に一切の悩み・苦しみから解放したいという気持ちが伝わる。気合いをかけ終わると、電気が消え、懺悔の神示を拝読。
そこから、聖経『甘露の法雨』とともに、聖なる火で浄心行用紙を自分の手で燃やす。

聖経を私は一所懸命、声高らかに読誦した。自分は変わりたい!!という気持ちからなのか、父との本当の和解をしたい気持ちからなのか、ひたすら、聖経に書かれているコトバを目で追っては読み上げる。もう、汗だくで相当必死だった。

読み終わると、 再び電気が消えて『 最後の審判についての神示 』を拝読。このときは、やりきった思いでいっぱいだった。
そして、『 久遠いのちの歌 』を拝聴。清らかな歌が流れる。しかし、それとは対照的に私の心は落ち着かなかった。

「もうすぐ終わるのに、今回も父への感謝がどうしてもできない!!こんだけやったのに、やっぱりだめだったか。」
周りからすすり泣く声が聞こえるのに、自分は涙ひとつ出ない。父への感謝といいつつも、やっぱりあの男に感謝なんてできなかったんだ。オレはダメだ。

そんなことを思いながらも、何とかココロを振り向けようとしていた。そうすると、ふいに暗闇の奥から何かが聞こえた。

「・・・ん。」
「・・くん。」

声が聞こえる。だけど、どこから聞こえるか分からない。
「まさくん。」
「え?」

ハッと意識を向けると、子どもの頃のボクがいた。左側に父の姿、右側に母の姿があった。

「まさくん、今日はね・・・。」

見上げてみると、二人がこちらを向いて笑顔で語りかけてくる。
あれ、親父のこんな姿、見たことないぞ。いや、まて、子どもの頃に見た!!
それは、小さい頃に父と母に連れられて、どこかの山へハイキングに出かけたときのことだった。

「お父さん、お母さん、あのね・・あのね。」
嬉しそうに二人の顔を見ながら語りかける私。

両手にはふたりの笑顔でいっぱい。



その光景を見て、もう目から大粒の涙があふれてきた。
嗚咽というレベルではない。過去に封印していた記憶や感情があふれだして、気がつけば、周りの目を憚らず、泣き叫んでいた。

「あー、あーーーー、お父さん、ごめんなさい!!」

そこには笑顔の父と母の姿しかなかった。今まで自分が憎み、苦しみ、怒りの対象としていたあの父はどこにもない。笑顔で語りかけてくれる、優しさに溢れたお父さん。

心の奥底では愛してくださった。
自分のことを考えてくれていた。
それなのに、どうしてコトバに出してくれなかったんだ。
きちんと伝えてくれていたら、お互いに誤解することもなかった。

ようやく本当の父の優しさに気がついた。父と離れてから10年目のことだった。
そして、浄心行は終盤にさしかかり、 ご先祖様・父母への感謝のコトバへと続く。
次回、完結編。

(・・・続く)


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