すべてはここから始まった、続く。投稿668日目

すべてはここから始まった、続く。投稿668日目

この続きは、恐らく書かないと思っていたが、リクエストがあったので書くことにした。

(・・・前回の続きより)

2回目の親孝行

「お袋、どこか行きたいとこはあるか?」
「宇治に行きたい。」
「宇治?京都?何のために?お茶でも飲みに行くのか。」
「宝蔵神社っていうのがあるのよ。一回行ってみたい。」
「ホウゾウジンジャ?まーたこないだ行った宗教のやつか。もう行かないって言っただろう。」
「・・・。もういい!!」
「何でお前がきれてんだよ。ふざけんじゃねーよ。」
「あんたが親孝行するって行ったから、言ってみたんじゃない。」
「・・・。あー、どうしてもいきたいのか?もうこれで最後だぞ」
面倒くさいなと思ったが、あまりにもうるさかったので、連れて行った。

2時間かけてクルマを走らせ、平等院鳳凰堂を横目に目的地へとたどり着く。
「ここがホウゾウジンジャか。こんな寺に来たかったのか?」
「あー、ここが宇治の宝蔵神社。ステキなところね。」
「えらい静かなところだな。それでどこに行きたいんだ。」
「あそこよ。あそこ。」
「ん?」

目の前に広がったのは、 宇治宝蔵神社の大拝殿と呼ばれる大きな建物。
中に入ると一面、畳が広がっていた。
「なんだここ、何にもないぞ。誰もいないし、気味が悪いな。」

平日の昼間から好きでこんなところには来たくはない。
「一度見てみたかったのよー。もういいわ。あんたも疲れたでしょ。もう帰りましょう。最後のそこの神社でお参りさせて。」
「もういいのかよ。」

所要時間わずか20分。山梨に引き続き、京都。一体ここは何なのか?
自分が嫌いな生長の家という施設を延々と回らされている。一体、お袋は何をさせたいのか。まさか、ココロを入れ替えさせようという魂胆だろうか。

家に帰ってくる。
いつもゴロゴロしていたので、久しぶりに出かけるとそれだけで疲れる。
働いていたときは、力がとてもみなぎっていた。なのに、今のオレは何だ。
ひどい有様だ。クズ以下というしかない。こんなオレを笑ってほしい。

今までオレは何のために頑張ってきたんだ。こんなにも会社に尽くしてきたのに、誰も助けてくれないじゃないか。使い捨て。用済み。お払い箱。
劣等感を感じていた自分が唯一、頑張って来られたのが仕事だったのに。

その仕事にも裏切られて、既に生きる価値はなくなったのだ。ココロは着々と死ぬ準備へと進んでいた。

死ぬことしか考えなかった毎日。

レンセイカイ?

数日後、ボクの姿を見かねた母が
「ねぇ、練成会ってのがあるんだけど。」
「レンセイカイ?何それ??」
「面白いかどうかは分からないけど、あんた暇でしょ。長い時間があるなら行ってみたらどう?色んな人が行って人生変わったって言っているよ。」
「ふーん、そんなものねぇよ。どうせ変わりゃしねえよ。」
「まぁ最後まで聞きなさい。こないだ宇治に行ったでしょ。そこで練成会をやっているの。」
「ああああああああああああ、宗教?ぜってーいかねー。そんなところ。」

生長の家と聞くだけで耳が痛い。目の前に人はオレに何をさせたいのか。
といっても、あまりにも時間を持て余していた。どうせ行くところと言えばスロットか近くの本屋くらいだった。

「それは、いつあるんだ。」
「8月にあるのよ。3泊4日のコースと、10日間のコースがあるんだけど。」
「あー、そんなに長いのかよー。」
「別に1日だけでもいいけれど、どうせ行くなら長いほうがいいんじゃない。」

今でもなぜコトバをつぶやいたか分からない。ボクはこう切り出した。
「分かった。10日行ってくる。」

(・・・続く)


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